2018年4月21日 (土)

エデンの東北

Edennotohoku11112


親愛なる深谷かほる先生の『エデンの東北』第11巻~第12巻を読む。

勿論、発売日に購入しておりましたが、読んでひとに貸して帰って来たところでブログに投稿ということで、
今更になりますが、一応触れておきたかったので…。

かつてネットも全く盛んじゃなくて(あったのかもわからない時代)、
学生時代ですかね、情報の少ない中いろいろ探してた頃に深谷かほる作品に出逢ってまして、
ほんとに多くの人にオススメしていた漫画家さんなんですが、
一向にブレイクする気配のないまま、
月日が流れて行きました。

そんな大きな時間の流れの中、
『夜廻り猫』でブレイクなされまして、
その影響で遂に10巻で止まっていた(連載はされていたけど出版されなかった)『エデンの東北』の新刊第11巻が、
なんとも17年振りに本屋さんに並ぶことになりました。

何というか、流石に諦めていたくらいだったので、感慨深かったです。

なので、一回くらいはブログで書いておこうと思い。

お話しとしてはシンプルです。

ちょっと昔('70年代)の東北の田舎が舞台で、
両親と主人公の女の子と弟がひとり。(※しんごというペット的キャラあり)

深谷さんの幼少期の体験をふんだんに盛り込んだコメディ漫画とでもいいましょうか、そんなのどかな漫画です。

母親という絶対的な女神のもとで暮らすエデンのようなそんな田舎の風景がここにはあります。

当初はもっと普遍的なテーマで、
胸に染入る回なんかもあったりしたのですが、
この11巻くらいになると妙にギャグ色が強くなり、
お姉ちゃんの傍若無人ぶりがさく裂しておりました。(w

…昔はお姉ちゃんももっとまともな子どもだったのにッ!!(w

けど、これはこれでカワイイというか、
好きですけどね。

12巻とかではさういうほっこりしたお話しもあったし、
まだまだネタは尽きないようです。

そういう素敵な経験を沢山積んで来た漫画家さんなのでしょう、だからこそ『夜廻り猫』のような1ページ漫画内でも人の感性に訴えることができるのだと思いました。

是非、いろんな方に読んで貰いたい作品です。



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2018年4月18日 (水)

アバンギャルド夢子

Yumeko



押見修造の『アバンギャルド夢子』を読む。

『惡の華』にハマっていた時期に購入したまま部屋に山積みになっていたのですが、
ふと気が向いたので今頃読んでみました。(※新品購入したのに年月が経ち過ぎて紙質が劣化してた…(w)

押見修造のデヴュー作らしいのですが、
絵や作風かなり今と違っていて興味深く読めました。

どことなく望月峯太郎ぽい作風のラブコメディつて感じで、
なかなか面白かったです。

テーマもしシンプルでど直球、
思春期の女子高校生が「ちんこが見たい!」という衝動にかられ、
ヌードデッサンならばと美術部に入部し、
先輩男子にちんこを見せろ、と迫る、、といった超変質的な物語です。

この男子バージョンの設定は昔から多かった気がしますが、
女子のリビドーに注目したのは珍しいケースだと思います。

他の初期作品もその傾向が強くて、面白い視点かと。

あとがきにもありますように、その性的衝動から表現のはじまりを描いたところがなんだか妙に清々しく、
歪んでながらも青春だなぁ~、とか想ったりもしました。

巻末に収録されている読み切りの『スーパーフライ』も良かったです。

superfly越智志帆さんご結婚おめでとう!




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2018年4月 6日 (金)

バレエ星

Kasumi



今は亡き谷ゆき子先生の漫画『バレエ星』を読む。

以前(2017.01.05)に御紹介した超展開バレエマンガ・谷ゆき子の世界から僅かの期間を経て、
去年の10月くらいにフルサイズで念願の出版となった作者初の単行本化となります。

1950年代~70年代の少女たちに向けて描かれた『バレエ星』をこうして一冊にまとめられたのは編集に携わった方々の、
まさに苦労と努力の賜物ではないでしょうか。
まずは、その執念に感謝致します。

出版、どうもありがとうございました。

※これだけの本をリットー・ミュージックが2000円くらいで出版て、
かなり攻めてますよね。

さて、物語は、バレリーナを目指す主人公のかすみちゃんですが、
お母さんが病に倒れています。
そんなお母さんの残した『バレエ星』という本を完成させ、自らも立派なバレリーナとなるという、
漠然とした夢を抱いています。

そんな健気に頑張るかすみちゃんでしたが、数々の試練が訪れます。

まぁ、だいたいの大筋では、昔からよくある立身出世モノの感じではあります。

ですが、最初は同じバレエ教室に通うあざみさんによる意地悪ぐらいなのですが、
"超展開"と言われるくらいですので、トンデモな急展開で毎回ハラハラドキドキのストーリーとなっています。

…それにしても何故、頻繁に「かなしい漫画」として読者をそんなに煽るのか?!(w

そんな風に疑問に感じることもしばしばですが、
なにゆえ、50年以上も前の作品、当時は読者に悲劇のヒロインを押し売りするような時代だったのでしょう。

そういう細かい部分が今となっては逆に新鮮で面白いのも事実です。

とはいえ、物語は破綻していそうでいて、ギリギリ筋を保っていたのは結構驚きでした。

『超展開バレエマンガ・谷ゆき子の世界』によると谷ゆき子さんはストーリーが苦手だったそうですので、
編集者のアドバイスなどで進行していたみたいですが、
この漫画の魅力は冷静に読んでみて、物語などではありませんでした。

この作品の最大の魅力は谷ゆき子先生の絵そのものなんです。

ひとことで言って上手いですし、
魅力にあふれている。

デッサンもかなりしっかりしているので、
いわゆる少女漫画の絵なのに逆にリアルな体の動きとかにときどきハッとすることもしばしば…。

正直、これだけの絵が描ける漫画家なのに、
これまでさほど評価されてこなかったのが不思議でなりません。

700ページ強もある分厚い本でしたので、
後半、結構マトモな展開で疲れたりしてたんですけど、(※それで御紹介が遅れました…すみません)
谷先生の絵だけは終始全手抜きもなくてどれだけの熱意で描かれていたのかがよく伝わって来ました。

懐かしい気分も味わいたい方も、
新鮮な気分を味わいたい方も、
どちらにもお勧めできる素晴らしい作品です。

是非とも御一読あれ。

すべての少女のバイブルのような、キラキラした傑作!!

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2018年4月 1日 (日)

デビルマン-ザ・ファースト-

Fudouakira


永井豪とダイナミックプロによります『デビルマン-ザ・ファースト-』(全3巻)を一気に読む。

本当にアニメの『デビルマン』のイメージが強くて、この原作の衝撃が世に浸透しない中、
最近でも永井豪先生が加筆・修正を繰り返してしまってますます伝わらないのではないか、心配しておりましたところ、
遂に出版されたのが、この『デビルマン-ザ・ファースト-』となります。

ファーストの意味、つまり、1972年当時の雑誌連載時のままの原稿で、
『週刊少年マガジン』と同じサイズのB5判での完全復刻となります。

昔出ていたコミックス版ですら少しいじられてありましたので、
本当にこれが『デビルマン』の最終形態ではないかと思いました。

物語はヒロインの牧村美樹のうちに暮らす主人公の不動明のもとに現れた旧友の飛鳥了が、
考古学者の父の死について明に語る。
地球には人類よりも古く先住人類がいて、彼らをデーモン一族と呼ぶ。
そして南極の氷に閉ざされていたそのデーモンたちが近く蘇りつつあるのだという。
その特殊な能力を持つ悪魔たちと戦うには、
人間の心を持ったまま悪魔と合体し、対抗しなければならないのだ、と。

そうして明はデビルマンとなり、
押し寄せる悪魔たちと戦いを繰り広げていく、、という感じで進むのだが、
途中まではわりとヒーローものの呈を保っているものの、
明らかに永井豪先生のスイッチが切り替わった時点から、
この作品は未だに語り継がれるような凄まじい展開を迎えることになる。

個人的にも昔読んだ時に永井先生が悪魔と合体したのではないかと思うほど、
後半のおぞましいまでの怒涛の展開にはとにかく衝撃を受けたのを覚えています。

"デビルマン"は悪魔の姿でありながら心は人間であるが、人間というものは心が悪魔であるのではないだろうか?
この作品のテーマでもあるこの問いは、今もぼくらの心を呪縛し続けている

何度も繰り返し読んできた作品ですが、
今回は一層、感慨深く、感動しました。

あらためて、生涯ベスト5に入る名作だと思います。
(※なので永井豪先生は自信を持って、過去の作品には手を入れる必要はないかと。)

多くの子どもにとって、この作品で人間の本質のようなものを見せつけられたのは本当に奇跡のような幸福だった気がします。

これからの子どもたちにも読み継がれて欲しいです…に、しては高額過ぎません?(w




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2018年3月18日 (日)

金剛寺さんは面倒臭い

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とよ田みのるの漫画『金剛寺さんは面倒臭い』第1巻を読んだ。

設定としては、
都内に開いた地獄の穴ってのがあって、
鬼とかが普通に人間と生活しているような現代が舞台で、
「血界戦線」ぽいのですが、
こちらはあれほどハードなSFファンタジーではなくて、
普通にその鬼の高校生樺山プリンと、
女子高生金剛寺さんとのラブコメになっています。

タイトル通り、
金剛寺さんの面倒臭い性格と少しずつ向き合いながら、
何故か周囲の人たちが幸せになっていくという珍妙な作品です。

以前もこの作者の作品を当ぶろぐで御紹介したこともありますが、
今回のも本当に面白いのでオススメします。

あらためて感じたのですが、
多分、意識的なのもあると思うのですが、
脇役のキャラクターにも結構重く比重を置いて漫画を描いているのがちょっと変わってていいなぁ、と思います。

この先、ふたりの恋がどうなって行くのか気になるところですが、
本編と関係のない人たちが幸せになっていくところをずっとみていたい気がします。

とにかく何巻も続いて欲しい作品です。




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2018年3月 9日 (金)

よしりん辻説法

Todaitoru



小林よしのりの『よしりん辻説法』(第1巻)を読んだ。

前回の『新・堕落論』をやっと読み終えたと思ったタイミングで新刊が出るとは、
いつもこっちのペースを読んでいるかのようなタイミングで出版されるのはいったいどれだけ計算してるのか、
昔から気になる。

おかげで今回も焦って読み始めたけれど、
この『よしりん辻説法』リラックスした内容で、
久しぶりに安心して読めるギャグ作品となっていました。

結構プライヴェートな女性関係とかそういうのもさらけ出すスタイルで、
(たまにゴー宣ぽくなる回もあるけど、)
いつもとはちょっと違った雰囲気なのがいい。

ちなみに、
この作品では全篇ハゲよしりんになっているのだが、
『東大一直線』ぽいのは原点回帰か?なんて思ったり。

あと、特筆すべきは1話袋とじになっている点が試みとして面白い。
(紙切るときに緊張するので個人的にはイヤだったが…)

最近のよしりんの本の定価の高騰化を指摘してましたけど、
この本も正直、この薄さで1000円は高いかな、と思っておりました。
しかし、全ページセミカラー(※袋とじはカラー)だし、
妙にショッキングピンクなページも多用されていてまあ、値段は安めなくらいだったかも。

それにしても、初期のゴー宣を憶い出すような、
濃い一冊
でした。

大満足。




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2018年2月 2日 (金)

怪奇まんが道 奇想天外篇

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『怪奇まんが道 奇想天外篇』(原作・宮﨑克 漫画・あだちつよし)を読んだ。

前回の『怪奇まんが道』に次いで2冊目になります。

前回も凄い面子だったのですが、
今回もなかなかに凄い。 

まず、冒頭の御茶漬海苔先生なんて男か女かも知らなかったし、
これまで実在するのかさえ考えたことも無かったくらいでして、
その人の生い立ちから知ることが出来、かなり興味深かったです。

その次の諸星大二郎先生はよく読んでいたとはいえ、
新人時代から頑なに信念を曲げずに描き続けて来られたのがこうやって時代を経てよく判るストーリー構成で何度も読み返しました。

外薗昌也先生はホラー映画好きであったにも関わらず、
なかなか自身の描きたいものが見つからず、苦悩して来た様が格好よかったですね。

最後の近藤よう子先生は高橋留美子先生との同級生で、
あんな超メジャーな天才との長い長いドラマが描かれていて、なんか本当の意味での"まんが道"って感じで感動的でした。

全体にたった4話とはいえない密度で、
非常に心に重たい一冊です。think




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2018年1月24日 (水)

鳩の血[七つ屋志のぶの宝石匣(第6巻)]

Simobu6



度々になりますが『七つ屋志のぶの宝石匣』の第6巻の御紹介になります。

今回の表紙絵が凄くかわいかったのと、
前回書きたかったことが想い出せたので…。

倉田屋という質屋が舞台(※といっても宝石メイン)の漫画なのですが、
設定として、顕定(あきさだ)の過去にも迫る今回、
-顕定が両親から祖母にあずけられた後、一家が行方不明になっているわけですが、-
彼自身が質草みたいな立場になっているところが今後のドラマの胆だなぁ、と感じるわけです。

あと、
二ノ宮知子さんの絵が、線が少ないわりに人物の年齢の描き分けがめちゃくちゃ上手だなぁ、ということが
最近すごく気にしながら読んでいます。

不自然にシワを増やしたりしてるわけでもないのに、

ナチュラルに年齢を描き分けててうまいなぁ、としみじみします。

そんなわけで、

6巻読んだ現在、やっぱ顕定の家族の消失した理由と安否、気になりますね。

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2018年1月 6日 (土)

ブラック・ダイアモンド[七つ屋志のぶの宝石匣第5巻]

Shimobu5

二ノ宮知子氏の『七つ屋志のぶの宝石匣』は現在刊行中の第5巻まで読みまして、
中間報告となります。

2巻の読後、なんか大筋から脱線してる気がしたし、
もしかしたらそのまま失速してしくのでは?なんて危惧してましたけど、
3巻からこの5巻まで、実に面白い読み切り系のスタイルでありながら、
大筋のサスペンス部分もちらほら絡めて来ているのがgoodです。

長く続くといいな。



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2017年12月31日 (日)

人間失格

Dazai_2

恥の多いブログばかりを綴って来ました。

今年もあと少しとなりました。
今年最後に御紹介するのは伊藤潤ニ先生の『人間失格』(第1巻)です。

原作は勿論あの太宰治先生の作品なのですが、
憂国のラスプーチン』があまりハマらなかったので期待せずに読んだところ、
これがなかなか良かったです。

太宰治の、というより"文学"の持つ暗さが全体にあって、
それでいて伊藤潤ニ独特のホラーテイストを味付けしておりまして、
もしかしたらもしかすると代表作になるやも知れぬ出来栄えです。

ラスプーチン』の時に「絵は巧いけど漫画が下手」酷評したのを覚えておりますが、
今回はその弱点を感じなかったです。

その代わり、といっては何ですが、
男女のまぐわうシーンが全くいやらしくないのが弱点かな、と感じました。

多分、江川達也みたいにエロビデオばっかり観ていない真面目な方なのでしょう。

妖艶さも無ければ、変態性も全く感じない、
平凡なシーンにしか思えませんでした。

ここさえ克服できれば、
もっと凄い作品になることでしょう。

年明けには過去のホラー作品がアニメ化されるそうですので、
そちらも期待しつつ、お正月にオススメの一冊です。



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